圓勝院縁起
圓勝院は東京都江戸川区鹿骨にある真言宗豊山派に属する寺院で、正式には金霊山圓勝院神明寺と称します。古い記録によると「享禄年間(1528-1532)に円海律師により中興された」とあり、中興とは一度衰退したものを新たに復興することを意味することから、創建年代はもっと古い時代にさかのぼると考えられます。
元々圓勝院は上小松村 正福寺の末寺で、鹿島神社の南東に位置しておりました。しかし元禄2年(1689)の火災で本堂等が消失し、現在の地に再建されました。徳川八代将軍吉宗(1716-1745)の鷹狩りでは将軍の小休所となりました。明治維新における神仏分離、廃仏毀釈の制度により、明治3年(1870)に鹿島神社別当職を辞することとなり、明治7年(1874)に近隣の観音寺、浄性院、薬王寺を合併して今日に至っております。
明治14年に(1881)に現本堂の建築が行われ、昭和15年(1940)には茅葺屋根を瓦に葺き替える工事を行いました。昭和48年(1973)には、弘法大師生誕1200年を祝う記念事業として1階に鉄筋コンクリート造の客殿を新築し、もともと1階にあった本堂をその上に乗せ2階建てとしました。平成4年(1992)の興教大師850年御遠忌の記念事業として本堂、書院、寺務所、庫裡、水屋等の改築を行い、平成8年(1996)4月13日、真言宗豊山派管長 総本山長谷寺化主 吉田俊誉猊下を大導師に落慶法要が厳修されました。
尚、当寺では徳治3年(1308)、および応長元年(1311)の板碑2枚を保有しており、それぞれ江戸川区の有形文化財及歴史資料となっております。